Monthly: VCM Updates (2024年2月)

sustainacraft: VCM Update (2024年2月)

Monthly: VCM Updates (2024年2月)

株式会社sustainacraftのニュースレターです。今回はMonthly VCM Updateとして、コンプライアンス市場との統合に関する議論をお伝えします。今月は、前年同月比で償却量が大幅に増加しており、11月・12月と同様の傾向となっています。大量償却プレーヤーが目立つ一方、昨年は償却名義数が増加しており新規参入の増加もうかがえます。


Monthly VCM Update

今月は以下の内容を紹介します。

A. Voluntary Carbon Creditの市場動向

  1. Issuance / Retirement分析
  2. プロジェクトパイプライン分析

B. 海外の主要規制の動向

  1. The Convergence of the Voluntary and Compliance Carbon Markets
  2. Market convergenceの個別事例

A. Voluntary Carbon Creditの市場動向 (Verra)

参考: 昨年末でのセミナーで用いたボランタリークレジットの2023年末までの市場動向レポートを公開しています(英語版日本語版)。

1) Issuance / Retirement分析

2024年1月はVerraボランタリーカーボンクレジットでは9,205,885ユニットが新たに発行され、13,882,075ユニットがリタイアされました。それぞれ前年同月比-56%、+258%となっています。

AFOLU(Agriculture Forestry and Other Land Use)プロジェクトに限ると915,393ユニットが発行され、8,847,878ユニットがリタイアされています。それぞれ前年同月比-89%、+289%と増加しています。

昨年11月・12月に続き、企業の償却量は前年比増加しています。12月は対前年比+86%(AFOLUセクター)でしたが、1月は+289%と大幅増加しています。こちらの内訳は後述します。

それに対し、新規発行量は大幅に減少しています。方法論のアップデート、新規プロジェクト・新規発行の認証にかかる時間が長期化している影響もあるのかもしれません。

2023年12月にリタイアされたプロジェクトの一覧(AFOLUセクターのみ)です。上位20件のプロジェクトでリタイアメント全体の8割を占めています。国別ではIndonesiaが最大(34%)で、その後をChina(28%)、Peru(9%)、Uruguay(9%)、Brazil(6%)が続いています。
Katinganプロジェクトは、Shellがそのうち108万VCUを償却しています。

Verra AFOLUセクターのカーボンクレジットをリタイアした企業のTOP 20社は以下の通りです。11月・12月に引き続き、Shellの償却量が非常に大きいです。今月はShellの償却に加え、武田薬品工業も大規模な償却を行っています。この2社が、AFLOUセクターの償却をけん引しています。

武田薬品工業は、最近発行された中国・ウルグアイ・パキスタンの除去系クレジットを償却しています。2023年発行のクレジットも含まれています。

ビンテージ別にみた場合は、2017年以降のビンテージのクレジットのみを償却しています。彼ら独自の調達条件の一つである、3年以内のビンテージのクレジットを優先するという、近いビンテージのクレジットを優先していることがうかがえます。

実験的に、ISO14068-1:2023のカーボンニュートラル基準において使用できるクレジット条件に照らしてみました。ISO14068では、当該決算年度の開始日から5年前までのビンテージのクレジットを使用することができますので、約122万VCUのうち約112万VCU(上表計の太字部分)がこの基準に合致していることになります。ISOの基準については、こちらの記事でも取り上げております。ご覧ください。

Monthly: VCM Updates (12月)
株式会社sustainacraftのニュースレターです。今回はMonthly VCM Updateとして、主に2023年12月に発表されたボランタリーカーボンクレジット市場・海外規制に関するトピックを中心にお届けします。 Monthly VCM Update 今月は以下の内容を紹介します。 A. Voluntary Carbon Creditの市場動向 Issuance / Retirement分析 プロジェクトパイプライン分析 B. 海外の主要規制の動向 主要レジストリの品質改善及び市場拡大に向けた共同声明

大企業の償却の増加が目立ちますが、対前年比では償却名義数も増加傾向にあります。過去12か月のうち9か月では対前年比で償却名義数は増加しており、累計では38%増です。新規参入が増加していることがうかがわれます。

2) プロジェクトパイプライン分析

以下に、プロジェクトサブタイプごとの月次でのパイプライン動向を表示しています。上段が件数、下段が年間ER(Emission Reduction or Removals)ベースです。横軸はListing Dateをベースにしています1

レジストリーへの反映には若干タイムラグがあるため、今後2024年1月分が増える可能性があることにご留意ください。2023年12月のデータも前回と比べて増加しています。)。

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ウェビナー GX/ETSに向けた炭素クレジット 最新動向 解説セミナー COP30やGX/ETS制度設計、そのほか関連イニシアティブを踏まえた最新動向 参加登録する 概要 2025年11月にブラジルで開催されたCOP30も含め、パリ協定第6条(国際炭素市場メカニズム)やJCM(二国間クレジット制度)を取り巻く環境は大きく動いています。 また、日本国内でもGX-ETS(排出量取引制度)の本格稼働に向けた制度設計が進んでおり、炭素クレジットの活用戦略は企業にとって重要な経営課題となっています。 本セミナーでは、環境省JCM推進室より髙橋室長補佐をお招きし、COP30の成果やパリ協定第6条関連の最新動向、JCMの進捗状況について解説いただきます。 また、サステナクラフトからは、JCMでのクレジット供給が期待されている中で、各国での6条関連の動きも踏まえた各国のJCMポテンシャルやボトルネックの分析についてお話しします。 加えて、SBTiの新たな企業ネットゼロ基準(Version 2)の2回目のパブコメの内容などもお伝えしたいと思います。

By sustainacraft