2024年11月 Methodology Updates (2/n)

Gold StandardとVCSの方法論のアップデート: SOC(カバークロップ)、REDD+、IFM (保護林化)

2024年11月 Methodology Updates (2/n)

株式会社sustainacraftのニュースレターです。

Methodology Updatesは、炭素・生物多様性クレジットの方法論を扱うシリーズです。本記事では、先月から今月にかけて発表されたGold StandardとVCSの方法論のマイナーアップデートを紹介します。

  • 新しいカバークロップモジュールの公開 (Gold Standard)

  • VCS方法論のアップデート (Verra)

    • REDD+方法論VM0048のモジュールアップデートとCCP認定

    • IFM方法論VM0010(保護林化)のアップデート

お問い合わせはこちらまでお願いたします。


新しいカバークロップモジュールの公開 (Gold Standard)

<出典>

  • [1] https://www.goldstandard.org/news/new-cover-crops-soil-organic-carbon-activity-module-released

Gold Standardは10月初頭に、土壌有機炭素方法論 (SOCFM: Soil Organic Carbon Framework Methodology)のモジュールとしてカバークロップを新たに追加しました ([1])。以下のニュースレターでも紹介しましたが、SOCFMは土壌有機炭素の増加を目指す複数の活動をカバーする方法論となっており、VerraのALM方法論であるVM0042と対応するものとなっています。

2024年8月 Methodology Updates (2/n)
株式会社sustainacraftのニュースレターです。Methodology Updatesは、炭素・生物多様性クレジットの方法論を扱うシリーズです。今回はGold Standardの農地管理方法論についてご紹介します。

VM0042とは異なり、SOCFMは対応するモジュールがある活動のみカバーされます。本モジュールの追加により、カバーされる活動タイプは6つになりました。

SOCFMでカバーされる活動タイプ (2024年11月時点; 弊社作成)

カバークロップとは、主に作物の休耕期間に、土壌の保護や改良を目的として植えられる作物のことです。代表的なカバークロップとしては、イネ科作物 (ライ麦など)、マメ科作物 (レンゲ、ヘアリーベッチなど)、アブラナ科作物などが挙げられます。カバークロップの主な効果としては一般的に以下のようなことが挙げられています:

  • 有機物の供給: 作物の根や茎の部分の自然な分解により土壌中に有機物を供給する。
  • 土壌侵食防止: 地表を覆うことで、雨風による土壌の流出や侵食を防ぐ。
  • 土壌の肥沃度向上: 特にマメ科植物は窒素固定を行い、土壌中の窒素を増加させる。
  • 雑草抑制: 密に生育して地表を覆うことで雑草の成長を抑え、除草剤の使用を削減する。
  • 水分保持: 地表を覆うことで蒸発を抑え、土壌の水分を保持する。
  • 病害虫抑制: 一部のカバークロップは特定の害虫や病原菌の発生を抑制する。

次の栽培サイクルに入る前に、カバークロップを終了1するための処理を行います。具体的には、土壌にすき込む、除草剤で枯らせる、家畜に食べさせるといった方法があります。

今回追加されたモジュールは、特に上の一点目の有機物の供給によるSOC増加を定量化するためのツールです。以下では、本モジュールに特徴的な点をいくつか紹介します。

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ウェビナー GX/ETSに向けた炭素クレジット 最新動向 解説セミナー COP30やGX/ETS制度設計、そのほか関連イニシアティブを踏まえた最新動向 参加登録する 概要 2025年11月にブラジルで開催されたCOP30も含め、パリ協定第6条(国際炭素市場メカニズム)やJCM(二国間クレジット制度)を取り巻く環境は大きく動いています。 また、日本国内でもGX-ETS(排出量取引制度)の本格稼働に向けた制度設計が進んでおり、炭素クレジットの活用戦略は企業にとって重要な経営課題となっています。 本セミナーでは、環境省JCM推進室より髙橋室長補佐をお招きし、COP30の成果やパリ協定第6条関連の最新動向、JCMの進捗状況について解説いただきます。 また、サステナクラフトからは、JCMでのクレジット供給が期待されている中で、各国での6条関連の動きも踏まえた各国のJCMポテンシャルやボトルネックの分析についてお話しします。 加えて、SBTiの新たな企業ネットゼロ基準(Version 2)の2回目のパブコメの内容などもお伝えしたいと思います。

By sustainacraft